2018.5.20.

フォトエッセー 初夏の装い

玄関先のカレンソウ(蚊連草)

karensoh  庭のスペースが広く、家が緑に囲まれていることもあり、この季節になるといつも蚊に悩まされる。油断をすると、すぐに家の中に取り込んでしまうため、玄関先で蚊取り線香を焚いたりもするのだが(夏の庭仕事時は必需品)、ここ数年は虫除けも提げている。化学薬品だから本当はあまり使いたくないが、いったい体のどこにまとわりついているのか、いつの間にか家の中に紛れ込み、あっという間に体のあちこちに吸い付いて、皮膚を真っ赤に腫らし、痒みの素を植えつけてしまうのだから堪らない。その上、気持ち良く眠りにつこうとする矢先、あの不快な羽音が耳元で響くや否や、瞬時に現実に引き戻されてしまうのにはほんとうに参ってしまう。玄関先に提げた虫除けがどれくらい効いているのかよく分からないのだが、とりあえず2重装備である。
 庭で幾種類かのハーブを育てている。人からいただいたり、興味があって購入したりしたものだ。ハーブが虫除けになるということは以前から聞き知っていたが、ハーブそのものが食べられてしまうものもあり(バジルやセージなど)、害虫除去に一役買っていると感じたことは今まであまりない。けれども蚊避けに”カレンソウ(蚊連草)”というハーブがあると知ってからは、いつか試してみたいと秘かに思っていた。何と言っても、カレンソウがゼラニウムの一種であると知ったときには、これはかなり期待大と思ったものだ。というのも、ゼラニウムはチューリップやコスモスなどと同じように子どもの頃からいろんな場所でよく目にしていた花で、真っ赤な花びらとまさしく元気を形にしたような濃い緑色の葉っぱが特徴的であるが、ドクダミほどではないにしろ臭いが強烈で、私はとても苦手だった。なるほどこの臭いには蚊も近づきたくないのだろうと、とても納得できたのだ。ところが、近くの園芸店ではどこもカレンソウを取り扱っていない。そのためずるずると数年が過ぎ、昨年のちょうど今頃、一念発起(?)、実際に試してみることにしたのだ。

 数年に一度くらい利用する大きなナーセリーにちょっと遠出して足を運んでみると、さすがである。ハーブコーナーが広く設けられており、名前だけは知っていたハーブ、初めて知るハーブなどが沢山置いてあった。その中にカレンソウも10種類ほどあっただろうか。パイナップル・ゼラニウム、ローズ・ゼラニウム、レモン・ゼラニウム、アップル・ゼラニウム・・・。こんな美味しそうな名前のゼラニウムがカレンソウの仲間だとは知らなかった。どれもフルーティでいい香りがした(あの特有の香りも微かに感じるが気にならない。)。こんな繊細な香りが私たちをほんとうに蚊から守ってくれるのだろうか??? 私は次第に疑問を覚えながら、店員さんに「効果ありますか?」と聞いた。「もう全然ちがいますよ。」「どれが一番お勧めですか?」「蚊は柑橘系の臭いが嫌いなので(追記1参照)、ローズとかいいと思います。」ん〜〜? ローズが柑橘系? 何となく釈然としないものを感じたものの、ローズ・ゼラニウムは以前から香りのよいハーブだと聞きかじって興味を持っていたので、偶然このような形で出会えたことが嬉しく、このハーブを2株購入することにした。柑橘系が苦手なら、レモンの方が効果はあるかもなぁ、でもレモンバームはすでにあるし・・・などと、蚊対策というよりも、すっかり趣味の領域である。家に持ち帰り、少し大きな鉢に移し替え、玄関先に置いたものの、何と言っても小さな苗2つ。とても効きそうにない。とりあえず昨年の夏は、いつものように「虫コナーズ」のお世話になった。

 冬は屋内に取り込み(寒さに弱いので、庭に植えっぱなしにできないのが難点)、春先になると苗は見る見る大きく生長し、幾つもの蕾をつけ、可愛らしいピンクの花を沢山咲かせ始めた。葉っぱの緑も美しく、触るとさわやかないい香りがする(ローズの香りとはちょっと違うような? このさわやかな香りこそが効くのか?)。「いよいよ出番だね。」と玄関先に置いた(もう一つは、物干し場であるテラスに置く)。

 今年の春は気候の変動が激しく、早々に夏のような暑さが訪れたと思っていたら、その後再び寒が舞い戻り、朝夕が寒くてなかなか冬物が手放せなかったが、急に真夏のような暑さになり、まとまった雨も降って、庭先には、待ってましたとばかり元気な縞蚊がビュンビュン飛び回り始めた。さあ今こそ、カレンソウの出番である。ところが、こんなに大きく生長したのに、風が吹いても、近くに寄っても、直接触らない限り、一向に香りがしない。手を大きく動かして、沢山の葉っぱに触れながら枝全体をやさしく揺らしても、例えば満開の白百合や沈丁花やキンモクセイのように、辺り一面、香りが立ち上がってくれるようなことは全くない(触れた手にさわやかな香りが移るというレベルである)。蚊は玄関にあるカレンソウなんて何処吹く風、人間の周りをしつこく飛び回る。そしてすばやく家の中に紛れ込み、「痒い!蚊がいる。」「あッ、刺された!」こうしてまた、蚊取り線香の登場に至るのである。

 結局、いつものように「虫コナーズ」が玄関先とテラスに設置された。結構期待もしていたのだが・・・こんなもんよねぇ、とあまりがっかりもしなかったのは、ローズ・ゼラニウムそのものに興味を持っていたからだろう(といって活用の目処がいろいろあるわけではないが、1つだけどうしても作りたいものがある。幾種類かのハーブをミックスして作るフレッシュ・ハーブ酒。どんな色になりどんな味がするのだろう。今からワクワクしている。)。

 もしも玄関先をこのカレンソウでいっぱいにして、それをかき分けながら家に入るようにすれば、蚊は近寄ってこないだろうか。それはちょっと無理だとしても、カレンソウをせっせと株分けして鉢を増やしてみようか(寒さからしっかり守りさえすれば、とても強い植物で、簡単に挿し芽で増やせる。けれども生育旺盛なので、管理も大変になっていくのである。)。ゆっくりと楽しみながら、少しずついろいろと試してみたいと思っている。


(追記1)ネット上の情報によれば、カレンソウはゼラニウムとシトロネラという植物を交配して作られたハーブの1つで、蚊はシトロネラの成分シトロネラールの香りを最も嫌うのだという(ゼラニウムの香りが嫌いなのではなかった・・・)。ナーセリーの店員さんは本当は正しくシトロネラールと言ったのかも知れないのに、私が勝手にシトロンと解釈して、柑橘系と記憶していたのかも知れない。

(追記2)新聞の折り込みに、いつもよく行く園芸店のチラシが入っていた。その中に”虫除け効果”という但し書きとともに「セインティッド・ゼラニウム」という草花が掲載されていた。写真で見る限り、私が購入したローズ・ゼラニウムと同じもののように思える。ローズ・ゼラニウムとセインティッド・ゼラニウム、カレンソウとセインティッド・ゼラニウム・・・どのような関連があるのだろう。最近は花の品種が増え、名称も長い横文字のものが多くて、とても難しい。それに1つの品種が別の呼び方をされることもあって、とてもややこしい。植物に興味はもっていても、知識がぜんぜん伴わないので、いろいろと間違ったことや意味不明なことを書いているかも知れませんが、そのときはごめんなさい。そのつもりで軽く読み流して頂けたらと思います。今後、何か新たな発見があったときは改めてご報告します。



もうちょっとご紹介

frog_kokimi 2018_rose 2018_ichigo


(左)オレンジの葉っぱの上の雨蛙

 キミドリやミドリよりずっと小さく、全長2センチほどの大きさの雨蛙。何とも可愛らしい。昨年、1センチほどの雨蛙を発見したとき、そのあまりの小ささに驚いた。急いでカメラを取りに行ったのだが、見失ってしまった。そのときの雨蛙がここまで大きくなったのだろうか。キミドリにちょっと似ているから、君をコキミと名付けよう。今度会ったときはもっと大きくなっていて、もう分からないかも知れないけれど。

(中央)庭にある唯一の薔薇

 あまりうまく撮れなかったが、今年は今までで一番きれいに咲いた。花弁が大きく、花数も多く、葉っぱの緑も美しかった。

(右)ある日の苺の収穫

 2階のベランダで育てている苺のある日の収穫。毎朝の収穫が楽しみだった。半月以上、毎日10個近くずつ収穫できた。赤く実りはじめて、いい香りが漂い始めると、ショウジョウバエのような小さな虫が周りをたくさん飛び回りはじめたので、虫食いにあうかもしれないと心配したが(ガムテープを割り箸につけて、鉢の土に突き刺していたが、一匹も捕まらなかったのには驚いた。)、被害はほとんどなかった。小粒だが、とても甘くて酸味も効いて美味しかった。もっぱらヨーグルトに入れて食べたが、一度だけ生の苺を刻んで入れたクッキー(テレビで紹介されていた)を作った。甘酸っぱくてソフトで美味しかったが、結構焦げやすく、ジャムを使った方が気軽にできたと思う。